「一人行動」はこれからもっと流行る?
──“孤独”から“自由”へ変わるライフスタイルの最前線
最近、ひとり焼肉、ひとりカラオケ、ソロキャンプ、ひとり旅──そんな言葉を聞く機会がぐっと増えた。かつては「寂しい人」や「友達がいない人」の代名詞のように扱われていた「一人行動」が、いまやごく自然な選択肢として広く受け入れられている。
では、この「おひとりさま」文化は、今後さらに拡大していくのだろうか?
本記事では、一人行動が社会的にどのように変化してきたかを踏まえながら、「なぜこれから流行るのか」「どんな可能性があるのか」を考察していく。
「一人」は恥ずかしくない時代へ
一人でいることは、かつて「人望がない」「友達がいない」「寂しそう」といった否定的な意味合いを帯びていた。しかし、2020年代に入ると、こうした価値観に大きな転換が起こる。
背景には、SNSの普及とコロナ禍による社会の変化がある。
SNSによって人は物理的に孤立していても、精神的には“つながっている”と感じられるようになった。一人で食事をしていても、料理写真を投稿すれば誰かが「いいね」をくれる。一人旅でも、その土地の風景を発信することで、共感や反応を得られる。
さらにコロナ禍では、他人との距離を保つことが“善”とされた。飲み会は激減し、会話はZoom越しに行われ、一人の時間を持つことが「リスク管理」として社会的に推奨された。
これにより、多くの人が「一人でも全然やっていけるじゃん」と気づいたのだ。
増える「ソロ消費」市場
ビジネスの世界でも、「一人行動」トレンドは無視できない存在になっている。
たとえば、
- 一人用の焼肉店(カウンター式)
- ソロキャンプ専門のギア
- 一人旅向けのツアーや宿泊プラン
- 一人カラオケ用の防音ブース
- 一人客専用カフェやバー
など、「おひとりさま需要」を見越した商品・サービスは年々拡大している。
背景には、単身世帯の増加や価値観の多様化がある。
2020年の国勢調査によると、日本の全世帯のうち約38%が単身世帯となっており、今後もこの傾向は続くと見られている。
つまり、「一人行動が当たり前の人」が社会のボリュームゾーンになりつつあるのだ。
自分のペースで生きたい人たち
今の若い世代、特にZ世代やミレニアル世代の多くは、「他人に合わせること」よりも「自分らしくあること」を大切にしている傾向がある。
「飲み会には行きたくないけど一人でラーメンは行きたい」
「グループ旅行より、気ままな一人旅の方が癒やされる」
「誰かと話すより、自分の好きな本や映画に浸りたい」
こうした価値観が広がる中で、一人で行動することは「孤立」ではなく、「自由」や「自立」の象徴として認識されつつある。
一人行動の未来──「寂しい」から「かっこいい」へ
これからの社会では、「一人で何かを楽しめる人」が、むしろ魅力的とされる時代が来るだろう。
それは、誰かに依存せず、自分の価値観を大切にし、主体的に生きる力の表れでもある。
今後は、AIやロボット、メタバースなどのテクノロジーによって、物理的に一人であっても、心理的にはつながれる世界がさらに進化する。一人でゲーム、一人でカフェ、一人でライブ配信──それらは「ひとりぼっち」ではなく、「ひとりの充実」へと変わっていく。
終わりに
「一人行動」は、一時的なブームではなく、社会全体の構造や価値観の変化によって生まれた、持続可能なライフスタイルの一つである。
これからの時代、誰かと一緒に過ごす幸せと同じくらい、「一人の時間をどう楽しむか」が問われるようになるだろう。
そして、それができる人こそ、他人ともよりよく関われる──そんな成熟した社会が、すぐそこに来ている。
一人行動はもちろんいいけど結婚はしたいです。
「寂しい」が「カッコいい」となったのは、素晴らしいと思います。確かにお友達との交流より一人でゲームをしたり読書をしていたい時間は沢山あります。結婚はしても一人の時間も大切にしたいと思っています。