家の中にじっとしてたら、
なんとなく息が詰まってきて、
スマホもテレビも見飽きて、
「ちょっと、外出てみようかな」って。
夜9時。
人通りはまばらで、風は少し冷たくて。
ただ、歩くことにした。
街灯の下って、なんでこんなに優しいんだろう。
昼間見慣れてる道も、夜だと少し違って見える。
コンビニの灯り、遠くの車のライト、
誰かが飼ってる犬の鳴き声。
全部が、「自分以外の時間がちゃんと動いてる」って知らせてくれる音だった。
ひとりで歩いてると、心の中が静かになる。
今日は何もなかった。
仕事も、誰かとのやり取りも。
でも、何もなかったからこそ、こうして歩いている。
誰にも気を使わず、
誰とも話さず、
ただ“自分と一緒にいる時間”。
信号が青になるタイミングも、なんだか心に合ってた。
急ぐ理由もない。
目的地もない。
でも、なぜか「今の自分にちょうどいい時間」が流れている気がした。
夜の散歩って、何かを変えてくれるわけじゃない。
でも、何かを“受け止められる心”にはしてくれる。
たった30分歩いただけだけど、
部屋に帰ってきたとき、
少しだけ心が軽くなっていた。