夜、冷蔵庫の奥にあったうどん玉を見つけた。
今日の夕飯、どうしようかと思ってたところに、
なんともありがたい存在感でこちらを見ていた。
冷蔵庫の野菜室には、ネギと卵。
あ、これだけで十分かもしれないな。
出汁は白だしをお湯で割って、鍋でゆっくりあたためる。
湯気が立ち上がる部屋の中、テレビも音楽もつけずに、
ただお湯がぐらぐらする音だけが、静かに響いてた。
料理、というほどでもないけど
うどんを茹でて、卵を落として、
刻んだネギをぱらりとのせたら、
それだけで「なんとなくいい感じ」の一杯が完成した。
器を抱えて、こたつの上にそっと置く。
なんてことない夜の、ひとりごはん。
でもこういうのが、一番ほっとするんだよなって思う。
ずずっ、と一口。
あったかい出汁が、喉を通って、
じんわりとお腹の奥に広がっていく。
「はぁ……」と小さく声が漏れた。
仕事の疲れも、なんとなくの寂しさも、
この一杯で少しだけ癒されていく感じがした。
一人って、時々しんどいけど、
こうして自分で作ったごはんを食べてると、
「ちゃんと生きてるな」って思える。
誰のためでもない、うどん。
盛り付けも、彩りも、誰かに見せるわけじゃない。
でも、自分のために丁寧に作って、丁寧に食べる。
それだけで、心のバランスがちょっと整う気がした。
部屋の明かりは少し暗めにして、
うどんを食べ終わったあと、ぬるくなったお茶を飲む。
それが、なんだかすごく心地よかった。
一人うどん、部屋。
なんでもない日常。
でも、こういう時間があるから、
また明日も頑張れる気がする。