仕事終わり、帰りの電車を待つあいだ。
なんとなく、駅前のラーメン屋に吸い込まれた。
別に豪華な店じゃない。
むしろ、古びた暖簾と券売機があるだけの、昔ながらのラーメン屋。
でも、そういうところが妙に落ち着く。
肩肘張らずに、ふらっと入れる感じが、駅前ラーメンの魅力。
一人って、ちょっといい。
店内はカウンターだけ。
サラリーマンや学生が並んで、それぞれ黙々と麺をすする。
この“会話のない空間”がなんか心地いい。
「一人でラーメン?」
前はちょっと恥ずかしかった。
でも今は、静かに自分だけのペースで過ごせるこの時間が、少し好きになってきた。
注文は「醤油ラーメン」と「半チャーハン」
券売機の前でちょっと迷って、結局王道の組み合わせに。
厨房の奥で手際よく麺を茹でる音、油のはじける音。
たった数分なのに、待っている時間までもう美味しい。
届いたラーメンは、スープが澄んでいて、香りが立ってる。
チャーシューは薄め、メンマが多め、ネギがシャキシャキ。
一口すするたびに、じんわりと疲れがほどけていく。
半チャーハンの香ばしさも最高で、
「もうちょっと量あっても良かったかも」って思いながら、あっという間に完食。
誰にも話しかけられずに、ホッとする。
SNSも見ずに、スマホはポケットにしまったまま。
静かな店内で、ただ目の前の丼ぶりと向き合う時間。
一人ラーメンって、なんかちょっとした“瞑想”みたいだ。
店を出て、駅のホームに立つ。
電車が来るまでのあいだ、胃のあたたかさと一緒に、
「今日もなんとかやりきったな」って小さく自分をねぎらう。
駅前ラーメン、一人時間にちょうどいい。
気張らない、でもちゃんと満たされる。
そんな時間って、意外と大事なんだと思う。
駅前のあの店、またふらっと寄ると思う。
次は味噌ラーメンにしてみようかな。