一人でホルモンを買ってきて、静かに晩酌した夜。

投稿者: | 2025年4月17日

昨晩、一人でホルモンを買ってきた。

スーパーの惣菜コーナーじゃない。
近所の精肉店で、パック詰めじゃない“量り売り”のやつ。
ニラとネギと一緒に、甘辛く味付けされたぷりぷりのホルモン。

仕事帰りにふらっと寄って、
「これ、100グラムだけください」って言った。
なんでもないようでいて、少しだけ贅沢な買い物だった。

家に帰って、すぐにキッチンへ。

ごま油をひいて、弱火でじっくり炒める。
香りが立って、ネギがしんなりしてきたところで、
冷蔵庫から冷えた缶チューハイを取り出す。

シュッという音とともに、一日のスイッチがオフになった。

テレビもつけず、音楽もかけなかった。

ただホルモンと、チューハイと、沈黙。

それがちょうどよかった。

ホルモンって、不思議な食べ物だと思う。

焼肉屋では人気だけど、家ではあまり食べない。
手間がかかりそうで、脂っこいイメージもあって、
どこか“外食の味”みたいな位置にいる。

でも、一人で食べると、その“ハレ”感が逆に心地いい。
今日はちょっと特別なんだぞって、自分にだけわかる感じ。

口の中で噛むたびに、脂と甘辛いタレのコクが広がる。
それをチューハイで流し込む。
炭酸が口の中をすっきりさせてくれて、
また次の一口が美味しく感じる。

誰かと話す必要も、気を遣う必要もない。
ただ、食べて、飲んで、ちょっとぼーっとして。

思えば、こういう夜が増えた。

一人で食べて、一人で飲んで、一人で寝る。
寂しいかって?
正直、ちょっとはそう思う日もある。

でも昨日は違った。
なんだか満たされていた。

「誰かと食べる方が、楽しいよ」

そう言われることもある。
それは間違ってないと思う。
でも、誰かと食べる前に、
自分ひとりでちゃんと味わえる人でいたい。

そういう夜も、あっていいと思う。

ホルモンを食べ終えて、
最後に少し残ったタレをごはんにかけた。

それをひと口食べて、思わずうなずいた。
「これが一番うまいかもしれない」って。

静かな夜だった。
でも、すごくいい夜だった。

★★★☆☆ (3 / 5)

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