土曜日の午後。
なんとなくスマホを見るのに疲れて、部屋の空気も少し重く感じて、
「ちょっと外、歩こうかな」って思った。
目的地もなく、ただ川沿いの道を歩くだけ。
それだけのはずだった。
静かだった。けど、ちゃんと音があった。
川の流れる音。
時々すれ違うジョギングの足音。
自転車のベルの音。
風が木を揺らす音。
どれも大きくないけど、ちゃんと聞こえる。
イヤホンも、音楽も、いらなかった。
一人だからこそ、気づける景色ってある。
小さな草花が咲いていたり、
水面に映る空が揺れていたり、
遠くの橋の上をゆっくり走る電車が見えたり。
誰かと一緒だったら会話に夢中で、
見過ごしていたかもしれない景色が、
今日はすごく、心に残った。
別に悩んでたわけじゃないけど、歩くうちに整理されていく。
「来週はちょっと頑張ろうかな」
「最近、ちゃんと寝てなかったな」
「もっと、自分をいたわってもいいかも」
そんなことを考えながら、ゆっくり歩いた。
一人で川沿いを歩く時間は、贅沢だった。
なにかを得たわけじゃないけど、
なにかを手放せた気がする。
誰にも言わないけど、
この川沿いの道は、今日から“自分の場所”になった。