夜の9時半。
今日は疲れた。
コンビニに寄る気にもなれず、冷蔵庫を開けたら、
1袋だけ残ってたインスタントラーメン。
お湯を沸かす。
袋を開ける。
鍋に麺を入れて、ほぐれるのをじっと見てる。
誰かのためじゃない。
見せる相手もいない。
ただ、自分のためだけに作るラーメン。
「一人って、こういう時間だな」って思った。
ラーメンが出来たら、
冷めないうちに手早くどんぶりに移す。
テレビもつけてない。
スマホも触ってない。
ただ、静かな部屋の中で、湯気とスープの香りに包まれる。
ひと口すすって、
「あ〜…うまい」
誰にも聞こえないのに、つぶやいた自分の声が、ちょっと笑える。
味は、たいしたことない。でも心にしみる。
高級なラーメンでも、流行りの味でもない。
ただの袋麺。
ネギもチャーシューもない、素ラーメン。
だけど、今日のこの一杯は、
なんだかすごく“正解”だった気がする。
一人暮らしのアパートって、なんか独特な空気がある。
狭い部屋。
時々聞こえる、隣の洗濯機の音。
どこかの部屋で流れるテレビの音が、壁越しに聞こえる。
でも、自分の部屋は静かだ。
その静けさの中で食べるラーメンって、なんでこんなに落ち着くんだろう。
たぶんこれは、「ひとり時間の味」なんだと思う。
人と食べるのもいい。
でも、自分だけの空間で、好きなタイミングで、
好きなラーメンを食べるって、
なんか**“自分をちゃんと生きてる”感**がある。
明日もたぶん、また疲れる。
でも、この一杯があれば、なんとかなる気がする。
アパートのラーメンは、今日もうまかった。
誰にも見せない、だけど確かに“うまかった”。