部屋に誰もいない朝に、少しずつ慣れてきた。
炊飯器のスイッチを入れるのも、洗濯物を干すのも、
全部、自分ひとりのリズムで進める日々。
この春、大学進学をきっかけに上京して、初めての一人暮らしが始まった。
期待も不安もごちゃまぜのまま、とりあえず毎日が過ぎていく。
親のありがたみを、生活の中で知る
朝、目覚ましを止めて、起きるのは自分。
誰かが用意してくれた朝ごはんなんて、もちろんない。
洗剤の減りに気づくのも、部屋のゴミを出すのも、誰かが言ってくれるわけじゃない。
実家では当たり前だったことが、こんなにも“ありがたいこと”だったなんて。
言われなくても、今ならちゃんと「ありがとう」って言える気がする。
大学生活は、まだ手探り
オンラインの授業、対面のガイダンス、新しい友達。
人と話すとホッとするけど、帰ってきた部屋は静かだ。
それがちょっと寂しくて、でも落ち着くような、不思議な感覚。
近くのスーパーで安売りの玉ねぎを買って、味噌汁を作ってみた。
少ししょっぱかったけど、なんだかうまくできた気がして嬉しかった。
一人の時間が、自分をつくっていく
夜、部屋の電気を少しだけ暗くして、
好きな音楽を流しながら、スマホを眺めてる時間。
誰に見せるわけでもない時間こそが、今の自分を育てている気がする。
SNSの誰かの投稿を見て焦る日もあるけど、
それでもいいんだ、まだ始まったばかりなんだからって言い聞かせてる。
この春の「はじまり」を忘れたくない
洗濯機の音、初めて炊いたご飯の香り、
夜にコンビニで買ったちょっと高めのアイス。
全部、ちょっとずつ、自分の生活の一部になっていく。
この「最初の春」の感じを、ちゃんと覚えておきたい。
たぶん数年後には、すごく懐かしくなるから。